現在好評公開中の問題作「ヴィオレッタ」に主演した新人アナマリア・ヴァルトロメイが、キャンペーンのために初来日。
「ヴィオレッタ」は写真家の母親にいわれるままヌードも撮らせてしまった幼い娘の抵抗を扱った実話の映画化で、監督を実際にモデルも務めた実娘、エヴァ・イオネスコが担当したことも話題の衝撃作。
　この作品で母親の呪縛から逃れるように反抗を繰り返す少女ヴィオレッタを体当たりで演じたのが、新星アナマリア・ヴァルトロメイだ。演じたのは十歳のころ。今は成長して十四歳の中学生。この秋から女子高生になるというアナマリアは、幼いながら激しい演技を見せる本編とは印象がガラッと変わる、清楚な雰囲気の美少女だ。
『生れはルーマニアで、両親が先にフランスに来て仕事を探し、六歳までおばあちゃんに育ててもらったの。今はフランスで暮し、八歳の弟もいるわ。この秋から高校に行く予定で、得意な学科は国語（フランス語）です』
　と自己紹介するアナマリアは、話し方もおしとやかで、映画で演じたヴィオレッタの奔放そうな気配は見当たらない。どうやってこの映画に出たのかと尋ねると、
『お父さんの知り合いの女優さんがいて、子役を探しているという話を聞いたので、ネットで調べたの。その後キャスティング・ディレクターに会うことになって、何人も候補者がいたのだけれど、私が選ばれてうれしかった。でも脚本はその後で読んだの。エヴァ（監督）がこれはある母親と娘、おばあちゃんと孫の関係を描くお話しで、ヌードにならなくてもいいとか、丁寧に説明をしてもらえたので、やってみると決心をしたの』
　と状況を教えてくれるが、やはり複雑な役を演じるのは難しかった様子。
『今も見ると難しい役だなあと感じるわ。でも今より若かった（？）し、一作目でもあったので、できるだけ言われたように演じたいと考えていたの』
（続きはＳＣＲＥＥＮ6月号で御覧下さい）
Photo by Hikaru Watanabe