フランス映画祭（３月18〜22日開催）のオープニングセレモニーのシックな装いとは対照的に、Ｔシャツの重ね着にジーンズ、おなじみのコンバースのバスケットシューズというカジュアルなスタイルで現われたジェーン・バーキン。脇には年季入りのくたくたになったエルメスの「バーキン」。シャツは日本のお店で買ったものだけど、だれも知らないようなブランドだという。「１枚脱いでもいいように、２枚のシャツそれぞれに飾りのバッジをつけてるの」と気さくにおしゃべりするバーキン。緊張気味のインタビュールームが一気に和やかな空気で包まれた。

フランス映画祭２０１０に出品された新作『テルマ、ルイーズとシャンタル』は、新人ブノワ・ペトレ監督がカトリーヌ・ジャコブ、カロリーヌ・セリエ、そしてバーキンというフランスで活躍するベテラン女優３人をそろえて撮ったコミカルなロードムービー。監督自身の母親がモデルになっていて、その役を彼女が演じている。

「演じるにあたってはあらゆることを変えなければいけなかったわ。髪を切り、メイクもなし。自分では絶対着ないようなブサイクな洋服も着なくちゃいけない（笑）。自分に全然自信のない、そういう役なんです」

映画の主人公とは違い、バーキン本人はファッションリーダーとして、あるいは女性の生き方のモデルとして、女性たちの支持を受け続けてきたアイコン的存在だ。

「私自身に関しては、自然であることに自信があるんです。それはたぶん両親が、そういう風に育ててくれたからだと思うわ。女優としては全然自信がないんですよ（笑）。でもディナーをどういう風に準備したらいいかとか、社会的にどう活動すべきかとかはわかっています。ファッションも好きな格好をしていたらそれが受け入れられ、自然に自分のスタイルが確立されてゆきました」

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