タイムマシンが発明された60年後の世界。時間移動はその危険性から違法とされていた。しかしこれを悪用する犯罪組織は、邪魔者を30年前に転送し、そこで待ち構える暗殺者〈ルーパー〉に始末させていた……異色の展開でタイムトラベル犯罪を描くライアン・ジョンスン監督（兼脚本）のＳＦアクション。出演は「インセプション」のジョゼフ・ゴードン・レヴィット、「ＲＥＤ」のブルース・ウィリス、エミリー・ブラント、ポール・デーノ、ジェフ・ダニエルズ、パイパー・ペラボーら。
2074年。人間の体内にはマイクロマシンが埋め込まれ、殺人が不可能となっている時代。犯罪組織は邪魔者を消すために違法となっているタイムマシンを使い、標的を30年前に転送してルーパーという処刑人に殺させていた。多額の報酬の裏には厳重な掟があり、ルーパーは決して標的を逃してはならず、これを破った場合、ルーパー本人も始末されるのだ。
ジョー（ゴードン・レヴィット）も非情なルーパーの一人。そんな彼の前にある日未来から送られてきた標的は、通常と違って顔に袋を被されておらず、その男は一瞬の隙をついてジョーを倒すと、こつ然と消えてしまったのだ。しかもその男はなんと未来の自分＝オールド・ジョー（ウィリス）だった。掟を破ってしまったジョーの失態は即刻闇の組織に知れ、未来から送り込まれていたルーパーの元締めエイブ（ダニエルズ）は手下の“ガットマン”を使ってジョーを追跡する。このままでは自分が始末される──ジョーはガットマンの追撃をかわしながら、未来の自分を必死で追いかける。オールド・ジョーはある人物を抹殺するため未来からやってきたらしく、その標的を探し歩く。やがて二人が再び向かい合った時、オールド・ジョーは若き日の自分に向かって、彼がこの時代へ来た真の理由を語りだす。それは、彼の愛妻の命を奪う謎に包まれた未来の独裁者“レインメーカー”の暴走を食い止めるためだという。彼の時代で起きた話を聞き戸惑うジョーの前にガットマンが現われ、またもオールド・ジョーを取り逃してしまった。
ジョーはやっとのことでガットマンの追撃をかわすが、もはや満身創痍。そんな彼を救ってくれたのは、都会を離れた農場でひっそり暮らすサラ（エミリー）と幼い子供シド（ピアース・ギャニオン）。何かわけありの二人の家で傷を癒すジョー。女手一つでシドを育てるサラと次第に親しくなっていく中、未来の独裁者の正体を追うオールド・ジョーの運命も巻き込んで、やがてその農場で世界の未来を左右するような壮絶な戦いが繰り広げられることを、その時ジョーはまだ知らなかった。