このところ監督作に専念してきたクリント・イーストウッドが、久々に俳優として主演したドラマ。本作の監督は長年イーストウッド監督作品のスタッフとしてキャリアを積んできたロバート・ロレンツ。共演には「魔法にかけられて」のエーミー・アダムズ、「ＴＩＭＥ」のジャスティン・ティンバーレーク、「アーティスト」のジョン・グッドマン、マシュー・リラード、ロバート・パトリックらが集まった。脚本はランディー・ブラウン、撮影はトム・スターンが担当。
ガス・ロベル（イーストウッド）は、何十年も大リーグのスカウトマンとしてアトランタの球団ブレーブスのために奔走してきたベテラン中のベテラン。だがこのご時世にコンピューターもメールも使わない超頑固者で、感情の表現も不器用。さらに視力に問題も出始めて、球団はそろそろ彼に引退勧告を考えている状態だ。誇り高い彼は親友ピート（グッドマン）の助言にも耳を貸さず、スカウトの旅に一人で出かけていく。
そんな彼の一人娘ミッキー（エーミー）は大手法律事務所のパートナーの座を賭けた大事な仕事の真っ最中。キャリア命の彼女にピートから連絡が入り、ガスのスカウトの旅に同行してほしいと乞われる。幼い頃母が亡くなった後、彼女は父とスカウトの旅をしていたことがあったのだが、ある事情でガスは娘を自分の手元で育てられなくなり、離ればなれの生活になって以来、親子の関係はぎくしゃくしたものになっていた。仕事も重要な時期だったが、父の目の状態を知ったミッキーは顧客相手のプレゼンまでに戻るつもりで、父の後を追いかける。
強打者の卵を視察に訪れたノースカロライナに現われたミッキーをガスは追い返そうとするが、彼女も頑固さでは父に負けない。果たしてこの田舎町の強打者ボーは本当に金の卵か否か。多くのスカウトマンたちも球場に詰めかける中、ガスはかつて自分がスカウトした選手ジョニー（ティンバーレーク）と再会する。彼はトレードに出され、引退してレッドソックスの見習いスカウトマンとして同地を訪れていた。ジョニーはミッキーの存在に惹かれていき、二人はいいムードに。
不本意ながらも久々に父と一緒の時間を過ごすうちに、ミッキーはかねてから気になっていた幼い自分を手放した理由をガスに尋ねるが、ガスは頑として答えようとしない。ガスは娘への愛情を再確認しながら、素直になることはできない。そんな頃、ミッキーのプレゼンをライバルが代行するという報せが届き、彼女は落胆する。やがてガスにもボーをスカウトするか否かの決断を球団に伝える期限がやってくる。実は球団はその判断能力を信じられなくなったガスの他にも別のスカウトマンを同地に送り込んでいた。目の異常が進行した状態でガスが下した決断とは？