ポーランド映画界の巨匠アンジェー・ワイダ監督の最新作。ヤロスワフ・イヴァシュキェヴィッチの短編小説を基にしているが、同時に主演女優クリスティナ・ヤンダの手記とシャンドル・マライの小説を加味し、映画の随所にクリスティナの私的なモノローグや、ワイダ自身も登場する虚実の多重構造となっている。
ポーランドの小都市。町医者の妻マルタ(クリスティナ)は不治の病にかかっていることを知らないまま、ワルシャワ蜂起で亡くした二人の息子への罪障感に苦しんでいる。そんな彼女が夏のある日、美しい年下の青年ボグシ(パヴェウ・シャイダ)と川岸のカフェで出会い、その若さと純真さに惹かれていく。亡くした息子たちと同じ世代のボグシもマルタに興味を示し、二人は川辺で逢引きするのだが、マルタに向かって泳いでいたボグシは、足を菖蒲の根に取られ、溺死してしまう悲劇が起きる。
一方この映画はマルタを演じるクリスティナ自身を、役柄と一つに融合しているように捉えていく。先般亡くした撮影監督の夫エドヴァルド・クォシンスキーについての彼女の私的な独白劇が、ワイダ監督たち撮影中の現場スタッフの姿も収めながら語られていく。
スタッフ・キャスト
[監督]アンジェー・ワイダ
[出演]クリスティナ・ヤンダ、パヴェウ・シャイダ
上映時間:1時間27分
配給:2009年ポーランド映画/紀伊國屋書店=メダリオンメディア配給
公開日:10月20日公開
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