「トスカーナの贋作」のアッバス・キアロスタミ監督が、日本を舞台に日本人俳優を起用して作った作品で、老いた元教授、女子大生とその元恋人の三人が紡ぎだす都会の不思議な物語。出演は奥野匡、高梨臨、加瀬亮ら。
東京でエスコート嬢のアルバイトをしている女子大生の明子（高梨）は、デートクラブを通じてある男性の家に呼び出される。そこには現役を引退した老教授のタカシ（奥野）が住んでいた。独り暮らしのタカシは、明子に亡き妻に似たような面影を見た。ダイニングテーブルには、シャンペンと桜海老のスープが準備されるが、明子はここに来る途中、田舎から上京してきた祖母が駅にいるのを見たにもかかわらず、そのまま置き去りにしてきたことが気にかかっていて、なかなか手を付けようとしない……
翌朝、明子はタカシの運転する車で大学まで送ってもらうことになるが、その時、二人の前に一人の青年が現われる。彼はノリアキ（加瀬）という明子の元婚約者だった。ノリアキはタカシを明子の祖父だと勘違いし、自分を拘束しようとする彼に明子は嘘を繰り返し、ノリアキはタカシの車に乗り込んでくる。やがてノリアキはタカシと明子の事情を知ってしまうが……