知らぬ間に別の記憶を植えつけられていた男。本当の記憶を取り戻そうとする彼に、恐るべき陰謀と危険が迫り来る。1990年にアーノルド・シュワルツェネッガー主演で映画化されたフィリップ・K・ディックの名作SF小説を再映画化したSFアクション大作。
出演は「フライトナイト」のコリン・ファレル、「アンダーワールド」のケート・ベッキンセール、「NEXT」のジェシカ・ビール、ブライアン・クランストン、ビル・ナイほか。ケートの夫でもあるレン・ワイズマン(「ダイ・ハード4.0」)が監督を担当。
世界を巻き込んだ化学戦争により荒廃した近未来の地球。人類は半減し、生き延びた人々は富裕層と貧困層の二つに完全に分け隔てられていた。地球の表側は高層ビルが林立する富裕層エリア、裏側はどこまでもスラム街が続く貧困層エリア。この二つのエリアは、地球のコアを貫く巨大な超高速エレベーターで結ばれている。貧困層の人々は、このエレベーターで富裕層エリアの労働現場に向かい、仕事を終えると再びエレベーターで貧困層エリアへと戻ってくる。
工場に勤める労働者クエイド(ファレル)も、そんな貧困層エリアに暮らす一人。美しい妻ローリー(ケート)がいるが、いくら働いてもすべて富裕層に搾取されてしまううえ、最近悪夢にうなされる日々が続いている彼はふと、人々の間で評判の人工記憶を試してみる気になる。リコール社が開発したこの人工記憶装置は、スーパースター、宇宙飛行士、億万長者など、記憶の中で自分がなりたい人物になり代われる夢の装置だが、その体験があまりにリアルなため中毒患者が続出。今では非合法な“ドラッグ”として、記憶を売った側も買った側も当局により厳しく処罰される。
それでもなお、リコール社を見つけ出し装置に身を横たえたクエイド。これまで経験したことのある記憶は絶対に選ばないこと、という注意事項を聞きながら、スパイの職業を選んだクエイドにその記憶が注入される。すると突然、アラームが発動。この男にスパイの記憶あり。そこへ特殊部隊が突入してきた。何が起きたのかまったくわからず立ち尽くすクエイド。だが銃口が向けられた瞬間、彼は無意識のうちに相手の銃を奪い特殊部隊を全滅させていた。家にたどり着き、ようやく我に返ったクエイドは、事の仔細を妻に話す。妻は優しく彼をなぐさめてくれるはずだった。ところが彼女はいきなりクエイドに襲いかかり、隠してあった銃で発砲してきた。またもクエイドの無意識にスイッチが入り、驚異的な身体能力を発揮し逃走をくり広げる。それを追うローリーもまた特殊訓練を積んでいるのは明らかだった。激しい追走劇の末に彼の前に現れたのは謎の女メリーナ(ジェシカ)。彼女の車に乗り込み難を逃れたクエイドの疑問はただ一つ。“一体オレは何者なんだ?”
メリーナから一枚のディスクを手渡されたクエイド。そこには“過去の自分”から“現在の自分”への驚くべきメッセージが残されていた。クエイドというのは偽りの名前と身分であること。彼はもともとメリーナと同じく、貧困層の解放をめざすレジスタンス軍の一員だったこと。そのために富裕層が隠し続けている、現体制を転覆させかねない重大な秘密を暴こうとしていたこと……けれども、まだ記憶の戻らないクエイドはそれを完全に信じることができない。そんな彼に再びローリーの追跡の手が伸びてくる。実は彼女は、コーヘーゲン長官(クランストン)が実権を握る諜報機関UFBの敏腕エージェントで、それを隠してクエイドの妻になりすましていたのだ。メリーナと共に逃亡を続けながら、隠された巨大な陰謀に近づいていくクエイド。そして彼の記憶が完全に甦ったとき、想像を超えた驚愕の真実が明かされることになる。
スタッフ・キャスト
[監督]レン・ワイズマン
[出演]コリン・ファレル、ケート・ベッキンセール
上映時間:1時間58分
配給:2012年アメリカ映画/ソニー・ピクチャーズ配給
公開日:8月10日公開
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