「ダーク・シャドウ」のジョニー・デップが05年に67歳で拳銃自殺した作家ハンター・S・トンプスンの自伝的小説を、製作・主演で映画化した意欲作。デップ率いる製作会社インフィニタム・ニヒルの初製作作品となる。監督と脚本は「ウイズネイルと僕」のブルース・ロビンスンで、監督業を引退していた彼に、デップが熱烈なオファーを送って復帰したもの。共演は「ザ・ウォード/監禁病棟」のアンバー・ハード、「ダークナイト」のアーロン・エッカート、「扉をたたく人」のリチャード・ジェンキンズ、「ロンリーハート」のマイケル・リスポリー、「アバター」のジョヴァンニ・リビシーら。
1960年、ニューヨークから南米プエルトリコのサンフアンに流れ着いたジャーナリストのはしくれ、ポール・ケンプ(デップ)。彼がやってきたのは、この土地に根付く地元新聞“サンフアン・スター”紙の経営者兼編集長ロッターマン(ジェンキンズ)に雇ってもらうためだった。面接には一日遅れの到着だったが、何とかロッターマンに認められたケンプ。訳知りのカメラマン、ボブ(リスポリー)とすぐに意気投合して、さっそく飲みに出かけたケンプは、ボブとルームシェアすることにして、サンフアンでの第一歩を踏み出す。
そんなケンプは真夜中の海岸で魅惑的な美女シュノー(アンバー)と出会い、心惹かれる。だが彼女はアメリカ人企業家サンダーソン(エッカート)の恋人だった。島で豪勢な暮しをするサンダーソンとも知り合いになったケンプは、サンダーソンの自宅に招かれて、彼の事業仲間たちに紹介される。サンダーソンは新事業であるこの島の沖合に豪華ホテルやマンションを建設する計画を好意的な記事にしてほしいとケンプに要請する。その計画に違法性を感じ取ったケンプは即答を控えたが、ある晩、ボブとハチャメチャに泥酔したあげく、警官とケンカ沙汰になり実刑判決を受けた大ピンチをサンダーソンに救ってもらった弱みから、申し出に協力せざるをえなくなる。しかしサンダーソンに接近したことで、ケンプとシュノーの距離も密接に近づいていく。ケンプは土地開発のツアーにサンダーソンと同行したが、それはますますケンプの懐疑心を深めていく。豊かな自然に囲まれたこの海岸から、サンダーソンたちはどうやって地元民を追い出すかを画策しているのだ。
その後ボブと出かけたカーニバルで、サンダーソンとシュノーに出くわしたケンプは連れだってナイトクラブに出向くが、シュノーの扇情的な行動はサンダーソンの怒りを買い、二人の間には亀裂が入っていくようだった。やがてケンプは酒に溺れた“サンフアン・スター”の記者モバーグ(リビシー)と出会い、彼独特の思考にある種の影響を受けていく。ついにジャーナリスト精神に目覚めたケンプはサンダーソンの計画に反対する記事を書きはじめ、恋人に愛想を尽かして家を出たシュノーもケンプに味方するようになった。
だがケンプの記事が掲載される前に、経営悪化のサンフアン・スターが会社を閉めるという最悪の事態が発生。何としても記事を世に出したいケンプは、ボブやモバーグの協力を得て、最後の新聞を印刷するための金策にあちこちを奔走することになる。
スタッフ・キャスト
[監督]ブルース・ロビンスン
[出演]ジョニー・デップ、アンバー・ハード
上映時間:2時間
配給:2011年アメリカ映画/ショウゲート配給
公開日:6月30日公開
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