古い屋敷で愛犬と静かに暮らす九一歳の女性の晩年を、美しいモノクロ映像で捉えた人間ドラマ。ポーランドの伝説的女優であり、撮影時九一歳のダヌタ・シャフラルスカが主演。監督は「僕がいない場所」のドロタ・ケンジェジャフスカ。
　ワルシャワ郊外の木洩れ日が差す古い屋敷。九一歳のアニェラ（ダヌタ）はこの家とともに育ち、夫や子どもとの思い出をこの家に刻みながら美しく年を重ねてきた。夫が他界し、息子が結婚して家を出た今では、愛犬とともに静かな生活を送っている。そんな彼女の日課は双眼鏡で両隣の家をのぞくことだった。片方の家は成金の愛人宅。もう片方は子どものための音楽クラブで、アニェラはその経営者である若いカップルに好感を持っていた。しかしカップルはその家に関して何かトラブルを抱えているようだった。