「岸辺の旅」がある視点部門で正式上映!
黒沢清監督、深津絵里、浅野忠信が感激!
ここカンヌで今モテモテの監督は、是枝裕和、三池崇史、園子温、河瀬直美、それに黒沢清だろうか。その黒沢監督の「岸辺の旅」が今回、ある視点部門で正式上映されたのが5月17日の夜。終映後に5分余りのスタンディング・オーベーションを受けた黒沢監督と主演コンビの深津絵里と浅野忠信。『(スタンディング・オーベーションは)お決まりのことだから、いつ切り上げるか、タイミングを見計らっていました』と少々恥じらいを持って語った黒沢監督。ロビーにも多くのファンが待っていて、拍手をもらって三人ともより感激を深くしたようだ。
黒沢監督にとっては「トウキョウソナタ」以来7年ぶり。浅野忠信にとっては同じ黒沢作品「アカルイミライ」から12年ぶり。そして深津絵里にとっては初めてのカンヌだ。
『ここに呼ばれただけで名誉と思っている。カンヌも大胆に選んでくれるなあ。死者の話でわかりにくいと思ったのに』と黒沢監督。『僕の作品を待ち望んでいてくれるファンがいることがうれしい』と感激気味。
深津は『映画にあふれたカンヌで刺激を受けて楽しんでいます。映画はとても豊かな文化で、それに関わることができて幸せ』と語れば、浅野は『この映画に描かれていた素晴らしい愛のかたちが観客たちに伝わったのがうれしい。僕の役は言わば幽霊で、「アカルイミライ」のような感じで演じればいいんだと自分なりに思って演じたのがよかった』と撮影当時を振り返る。すると深津も『黒沢監督とは初めてでしたが、撮影現場で監督がふっと出すアイデアが素晴らしくて、毎日が貴重な経験でした。自分で言ってなんですが、女性をとても輝かせてくれる監督だと思う』と話す。
なおこの「岸辺の旅」は、海へ出て死んだ夫が3年後に突然現れ、その夫に誘われて思い出の地を旅する妻の物語で、10月1日よりテアトル新宿ほかでロードショーされる。
レポート:岡田光由
写真:正式上映後のロビーにて。左から黒沢清監督、深津絵里、浅野忠信
Photo by Mitsuyoshi Okada