主演最新作『悪党に粛清を』プロモーションのためについに初来日を果たした“北欧の至宝”マッツ・ミケルセンが、5月12日、日本最速上映会の会場となった新宿武蔵野館に姿を現わした。その途端観客は熱狂の渦に!
ミケルセンは「ようこそ『悪党に粛清を』の上映会へお越しくださいました。今日はありがとうございます。今回は映画に関わった者の代表として来日させていただきました。皆さんの代わりに“ようこそいらっしゃいました”という言葉を贈りたいと思います」とにこやかに第一声。
続けて、「本作はデンマーク製のウェスタン映画なのですが、歴史をひもといてみると必然を理解してもらえると思います。アメリカの開拓史は我々デンマークやヨーロッパからの移民の歴史でもあり、アメリカ人からウェスタンを取り返した、そんな風に捉えていただければ。この映画は復讐劇ですが、人間が復讐を果たしていく中で、どこまで人間性を保てるのかということをテーマにした映画です」と映画の見所を紹介した。
「ロケ地は南アフリカで、デンマーク人が、アメリカのウェスタンを南アフリカで撮った面白い作品になっています。カメラの向こうは西部なのですが、少しアングルを変えるとシマウマがいたりと、撮影には気をつけなければなりませんでした。さらに、スタッフは現地の方も多かったので、スワヒリ語が飛び交ったり、なかなか面白い体験でした」と撮影当時を振り返る。
ミケルセンが本作で見せる抑制された演技について、「ウェスタンというのはセリフで物語を運ぶ訳ではないんです。逆に広大な景色があり、そこにひとりの男がいるという“引き”の演技や表情で魅せるジャンルだと思います」と説明。その一方で、世界的に大ブレイクを果たしたきっかけとなったTVドラマ「ハンニバル」での演技について聞かれると、「確かにハンニバルも抑制した演技ではありますが、レクター博士は実に人生を楽しく送っている人なんです(笑) 『悪党に粛清を』の主人公・ジョンよりは楽しそうな人なのかもしれません」と茶目っ気たっぷりに比較し、観客の笑いを誘っていた。
初めて訪れた日本への印象について、「まだ余り外に出る機会がないのですが、窓から見える景色が本当に綺麗で、早く街中に繰り出したいと思っています」と語り、プロモーションの合間に歌舞伎を見に行ったことを明かし、「歌舞伎は本当にすばらしかったです。デンマークにはパントマイム・バレーという形式的な劇があり、それに通じるものがあると感じました。楽しませていただきました」と語った。
フォトセッションの合間には、観客と自らコミュニケーションを取ったり、握手やサインにも応じたりと、短い時間の中でもファンとの時間を大切にし、制作スタッフ含め本作『悪党に粛清を』の代表として日本を訪れたという心意気を感じさせる素晴らしい初来日舞台挨拶となった。『悪党に粛清を』は6月27日より東京・新宿武蔵野館ほかで全国公開される。
(ミケルセンの来日特写&インタビューは6月20日発売のSCREEN8月号で掲載予定です)