オープニングナイトの主役はニコール・キッドマン
今年もカンヌ国際映画祭が始まった。今回で67回目。5月14日から25日までで、最高賞パルムドールを目指すコンペティション部門の出品作は18本。例年に比べてやや少なく、カンヌ常連監督たちの作品が多い。マイク・リー、ケン・ローチ、ダルデンヌ兄弟、アトム・エゴヤン、デーヴィッド・クローネンバーグ、それに日本の河瀬直美が入る。彼らはみなパルムドールやグランプリなどの受賞経験があるのだ。今回はどんな作品で勝負に出て来たのか、期待が大きいが、逆にまた常連監督たちかと面白味に欠ける面もある。
だが、今回楽しみなのが、「アーティスト」のミシェル・アザナヴィシウス監督のチェチェン戦争に材を取った「サーチ」や、25歳の若手監督グザヴィエ・ドランの母子もの「マミー」、トミー・リー・ジョーンズが監督&主演したアメリカ・フロンティア時代の物語「ホースマン」、それにヌーヴェルバーグの元祖監督ジャン・リュック・ゴダールのラブストーリー「グッドバイ・トゥ・ランゲージ」だ。
それらを審査するのが、「ピアノ・レッスン」で女性唯一パルムドールを受賞したジェーン・カンピオン監督をヘッドとする9人。ウィレム・デフォー、ガエル・ガルシア・ベルナル、カロル・ブーケら俳優たちとソフィア・コッポラやジャ・ジャンクーら監督たち。どれも一癖も二癖もある連中ばかり。彼らをカンピオン監督がどのようにまとめるかも気になる。
そのオープニングセレモニーが、カンヌ晴れの宵に開催された。雨風の異常気象だった昨年とは大違い。レッドカーペットにはオドレイ・トトゥ、キアラ・マストロヤンニら地元フランスをはじめ、チャン・ツィイーやコン・リーの中国勢、ジェーン・フォンダやブレーク・ライブリーらハリウッド勢、それに日本から長澤まさみと世界からスターやセレブたちが続々と登場、映画祭を盛り上げた。
だが、今宵の主役はニコール・キッドマンだった。オープニングに特別上映される「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」でグレース王妃に扮した彼女は、ジョルジョ・アルマーニのドレスにハリー・ウィンストンのジュエリーを身につけ、共演のティム・ロスやジャンヌ・バリバールらとレッドカーペットに登場。セレモニー会場では、あまりの美しさに司会のランベール・ウィルソンがステージから降りて、彼女をダンスに誘った。そして二人はしばらくダンスのステップを踏み、会場からやんやの喝采を浴びた。とても印象深いオープニングセレモニーとなったことは言うまでもない。 (岡田光由)
Reported by Mitsuyoshi Okada