【A】3.12時間
生まれながらの奇病で醜い姿でありながらも、崇高な心を持ったジョン・メリックの壮絶な生涯を描き、日本でも公開されて大ヒットを記録した「エレファント・マン」('80年)。今やカルト監督の名を欲しいままにしているデビッド・リンチの出世作だが、岩のように膨れあがったエレファント・マンの顔をどう作るか? に苦慮したリンチは、当初、演じるジョン・ハートの顔に自ら特殊メイクを施そうとしたところ、どう足掻いても無理と判断し、ワリー・シュナイダーマン以下、スペシャリストに委託。彼らは保存されていたメリックの実物のボディ・パーツを参考に、恐ろしく精密かつ丹念にメイクを実践した。気の遠くなるような手の込んだ作業だったために、ハートは毎回12時間、身動きできなかった。ご愁傷様でした。
(映画力がつく本:近代映画社刊より)