【A】
3.愛と喝采の日々
「カラーパープル」('85年)の1986年度のオスカー惨敗はスピルバーグ叩きではないか? という批判も出たほど。候補に挙がっていた11部門がすべて外れて、作曲賞候補だったクインシー・ジョーンズが客席でイライラしながらチューインガムを噛み続ける姿が印象的だった。
そして、同じ地獄を経験したのがそれより遡って1978年度の「愛と喝采の日々」。こちらも11部門中ゼロという最悪記録を達成。監督のハーバート・ロスに至っては「グッバイガール」('77年)を含めて関わった作品がトータルで16部門もノミネートされていながら、獲れたのは「グッバイガール」のリチャード・ドライファスの主演男優賞たった一つという惨状。
ある意味、「カラーパープル」のスピルバーグより酷い仕打ちをアカデミー協会から受けたと言える。スピルバーグはその後、「シンドラーのリスト」('93年)と「プライベート・ライアン」('98年)で2度も監督賞に輝き、ハーバート・ロスはオスカー無冠のまま2001年に74才でこの世を去っている。
(映画力がつく本:近代映画社刊より)