【A】1.ロッキー
ジョン・トラボルタが演じるブルックリンの青年、トニーが、ディスコ・キングを目指して週末のダンス・フロアでステップを踏む「サタデー・ナイト・フィーバー」('77年)。
土曜の夜は黒い決めブリーフを履いて、ドライヤーで髪をまとめて馴染みのディスコに繰り出すトニーの部屋の壁には、「ロッキー」('76年)「燃えよドラゴン」('73年)「セルピコ」('73年)のポスターが貼られている。
みんな映画と同じ1970年代にヒットした、それぞれ毛色は違うがヒーローものばかりだ。そんな英雄像にトニーが憧れるのは分かるが、トニー自身が目指すのは、所詮ディスコ・キング。けっこうしょぼいのだが、そこがこの映画のいいところ。ディスコ・キングだって立派なヒーローだし、それにトニーはダンス・コンテストで大人の洗礼を受け、本物の英雄とは何かをちゃんと学び取るのだから。
(映画力がつく本:近代映画社刊より)