【A】2.5時間25分
「ディア・ハンター」('78年)でハリウッドのトップ・ディレクターに躍り出たマイケル・チミノが、その勢いを維持して撮影に臨んだのが「天国の門」('80年)。
しかし、モンタナ州のド田舎にアーリー・アメリカン時代の街を建造したり、撮影が大幅に遅れたりで、当初予定していた製作費は当時としては破格の4400万ドルまで膨れあがり、公開されれば批評家たちから"デザスター映画"と酷評され、挙げ句、配給元のユナイテッド・アーティスツは倒産に追い込まれてしまった。
なにしろ、チミノが撮りあげた映画のオリジナル上映時間は5時間25分。その後、何段階か踏んでようやく2時間29分までカットされて公開と相成った。以来、マイケル・チミノは第一線から姿を消し、大作映画の製作システムも見直されることに。
「天国の門」はある意味、ハリウッドに学習を促した作品だったのかも知れない。
(映画力がつく本:近代映画社刊より)