【A】1.イエス。
「フレンチ・コネクション」('71年)の有名なカーチェイス・シーン。ジーン・ハックマンのポパイ刑事が車のハンドルを切りながら、頭上を疾走する麻薬組織の男が乗った地下鉄を追跡するのだが、車と電車、道路と線路なのだから所詮は追いつけない。でも、ポパイは諦めず、道路を横切る人や車にぶつかりかけながら電車に追いすがる。
実は、このシーンの撮影は事前の許可なしにぶっつけ本番で撮影されたという。リアリティを追求するために!監督のウィリアム・フリードキンも凄いことをやってのけたものである。
だから、たまたま通りかかった近所の住人が、ポパイに車をぶつけられる寸前に愛車から脱出する場面は演出ではなくホンモノ。
撮影終了後、プロデューサーが被害者に小切手を手渡して示談に持ち込み、何とか訴訟はまぬがれた。
(映画力がつく本:近代映画社刊より)