【A】「カクテル」
毎年オスカーシーズンに何かと話題になるゴールデン・ラズベリー賞、略してラジー賞で、2006年新設された"最もうんざりさせられるメディア対応賞"の栄えある第1回受賞者となったトム・クルーズ(&ケイティ・ホームズ)だが、トムは過去にも面白い実績がある。
1988年は、彼がダスティン・ホフマンと共演した傑作ロードムービー「レインマン」がオスカーで作品、監督(バリー・レビンソン)、主演男優賞(ホフマン)等、主要部門を独占した年。その同じ年に、トムの主演映画「カクテル」がラジー賞のワースト・ムービーに選出されているのだ。
映画はトム扮するバーテンダーのタマゴが成功を目指して頑張る青春ラブストーリーなのだが、当時、バーテンダーは花形商売だったし、タイムリーな話題作ではあったがまさかラジー賞とはねぇ。
トムの同賞に対するコメントは『全く何の意味もない』だが、でも、これってそもそも冗談だから。そう目くじらたてずに「ショーガール」('95年)でラジーを独占した監督のポール・ヴァーホーベンや、「キャットウーマン」('04年)のハル・ベリーみたいに授賞式に出席してジョークの一つもお見舞いしてやりゃあいいのに。
(映画力がつく本:近代映画社刊より)