【A】悪趣味映画の帝王
ジョン・ウォーターズ監督の名を有名にしたのが、体重140kg近い巨漢のドラッグクイーン、ディヴァインを主人公にした「ピンク・フラミンゴ」(72年)。ディヴァインが犬糞を食べるシーンはあまりにも有名だが、"地上で最も破廉恥な人間"の座をめぐってあらゆる変態行為が繰り広げられていくこの映画によって、ウォーターズ監督は“悪趣味映画の帝王”なる称号を与えられた。ディヴァインとは彼(彼女?)が88年に亡くなるまでコンビを組み続け、「ピンク・フラミンゴ」より以前に撮影された「モンド・トラッショ」(69年)、「マルチプル・マニアックス」(70年)、そして、映画上映時にこすると悪臭のするスクラッチカードが観客に渡されたことでも話題を集めた「ポリエステル」(81年)、今ではブロードウェイ・ミュージカルにもなりリメークも進行中の「ヘアスプレー」(87年)など、次々と奇抜な映画を生み出していった。ちなみに、ウォーターズ監督の作品は、ほとんどが彼の生まれ育ったボルチモアが舞台になっている。